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皮膚科医が教える、「心地よい肌」へのヒント

檜垣 祐子(ひがき ゆうこ)

アトピーとの
新しい付き合い方
~バリア機能を守るケアを取り入れて~

浜松医科大学 細胞分子解剖学講座 特任教授 戸倉 新樹先生

昨年末に中国で始まったコロナ禍は、短期間のうちに世界を席巻し、私たちの生活に大きな影響を与えました。
NAOSでは、本社があるフランスで医療機関向けにアルコール消毒液を寄付したほか、日本では手あれをケアするためのハンドクリームを医療者に寄贈するなど、治療の最前線におられる方々に少しでもお力になるための活動を続けています。
今回は第119回日本皮膚科学会総会の共催セミナーで座長をお務めいただいた戸倉先生に、最近のアトピーの状況について伺いました。

1)新型コロナウイルスパンデミックによる皮膚科と患者への影響

新型コロナウイルス(COVID-19)は人類に大きな脅威を与えたと言っても過言ではないと思いますが、研究者の活動にも大きなインパクトを残しました。医学論文でも、コロナウイルスに関係した発表がとても多くなっています。

コロナウイルスは、病院の運営・経営にも大きく影響しました。私の勤務地の静岡県では、比較的感染者数が少ないのですが、2020年3月から5月にかけて感染を恐れて病院に通院しなくなる患者さんが増えました。その後、6月には患者さんの数が戻り始めたのですが、7月に入って再び感染者が増えているので、皆さん心配に感じられていると思います。そんな中で、増えているのが遠隔診療です。中核病院や医院まで遠隔診療を取り入れているところが多くなり、期間限定ではありますが初診からリモートシステムを使って受診することができるようになりました。患者さんにとってはとても便利なシステムです。

春ごろから、マスクによる皮フトラブルが増えています。マスクの中は温度が高く、汗とともに皮脂が出るので毛穴がふさがれ、ニキビが悪化します。また、感染予防のためにマスクをつけたり外したりすることが増えました。マスクを付けると蒸れる、外すと乾燥する、これを繰り返すことによって悪循環が生じ角層がダメージを受け、皮膚バリアの損傷につながり、湿疹性病変が悪化することになります。マスクによる症状として多いのは、ニキビ、続いてアトピー性皮膚炎などの湿疹です。

2)アトピー性皮膚炎について

アトピー性皮膚炎は代表的なアレルギー疾患ですが、患者さんの約8割は明らかなバリア異常があるケース(外因性アトピー)で、残りの2割はバリア異常がない、内因性アトピーと呼ばれるケースです。内因性アトピーは若い女性に多く、金属アレルギーが原因のことよくあります。外因性アトピーについては、長い間、アレルギーとバリア異常の関係がわからなかったのですが、2006年にイギリスの研究者が、フィラグリンという皮膚に多いタンパク質の遺伝子異常とアトピーとの関連を初めて指摘しました。つまり、フィラグリン遺伝子の変異があるとフィラグリンが作られず、皮膚バリアの異常が発生し、ついにはアトピーになるという考え方です。
しかし、フィラグリン遺伝子変異がなくてもアトピーになる人がかなりいます。それはフィラグリンが作られても、酵素の関係でそれが働くような形に分解できないことがあるからです。また、アトピーにはフィラグリン以外にもバリアを構成する様々なタンパク質や、それを分解する酵素が関わっていることも明らかになり、それらの影響も大事と考えられるようになりました。さらに近年、かゆみの研究も盛んに行われ、バリア異常、アレルギー、かゆみの3つを切り口としてアトピーの解決策を見出そうという流れになっています。

3)皮膚バリア機能の維持と保湿の重要性

表皮は、私たちのからだの最も外側にあって、外界から身を守るためのバリアを形成しています。表皮は4~7層の角化細胞からできており、常にターンオーバーし、約ひと月で新しく入れ替わっています。表皮の最外層は角層でありバリアの働きをし、装置とも呼べるほど精巧な仕組みからできています。

角層は、角質細胞が10数層平たく積み重なり、その間を脂質で満たすという、まるでお菓子のミルフィーユのような互いに重なった状態にあります。角質細胞間の脂質は、スフィンゴ脂質(95%はセラミド)、コレステロールとコレステロールエステル、脂肪酸などから成っています。角層は水分を30%ほど含んでいて、栄養素の供給や免疫系、神経系が正常に働くことをつかさどる、正においしい役割を担っています。

バリア機能が破綻すると、外界からアレルゲン、化学物質が体内に入ってきてしまいます。アトピーなどでバリア機能が破綻した肌では、正常なバリア機能がある肌と比べて、タンパク質や、タンパク質よりももっと小さいハプテンと呼ばれる物質が通過しやすくなります。そうすると免疫システムが過剰に反応して、湿疹やかゆみを引き起こすのです。

このため、皮膚バリア機能を保つことができれば、アレルギー、そしてアトピーの症状を予防することが可能なのです。そのために保湿のための薬、あるいは化粧品クリームで自分に合うものを見つけることは重要です。これからもアトピーの研究は進んでいきますが、皆さんが自分の皮膚バリアを守り、少しでも良くするためにできることをみつける姿勢が大事になってくると感じます。
※本記事の取材は2020年7月2日に実施しました。
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戸倉 新樹(とくら よしき)

浜松医科大学 細胞分子解剖学講座 特任教授

戸倉 新樹
とくら よしき

日本皮膚科学会認定皮膚科専門医 日本がん治療認定医機構暫定教育医 医学博士

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